腰痛と鍼治療
腰痛に対する鍼治療は、その原因の鑑別を正確に行った上、適確な刺激を加えることにより、改善効果が効果が期待できると報告されています。
当院では、徒手検査法や解剖学的な知識、ポイントを絞った問診の仕方などを勉強させていただき、筋性、ヘルニア、椎間関節、椎間板性などの腰痛のタイプ分けをしております。
その上で、患者さんの腰痛の既往や、身体の調子、生活習慣、仕事の状況、よく動かれるかどうかなどの問診をします。そして、適切な鍼治療を行うとともに、患者さんに適した生活指導を行います。
腰痛のお悩みにもぜひ一度、鍼治療を試してみてください。
腰痛とは
腰は、体重を支えるのに最も大きな役割を受け持ち、身体を曲げ伸ばしするときや物を持つときに最も負担が加わる部位です。このために、人は腰部に弱点を持つようになり、約80%の人が一生に一度は腰痛を経験するといわれています。
一般に、腰の骨や周囲の筋肉あたりに痛みがあることを、広い意味で「腰痛症」といいます。
腰痛症の原因は以下のものをはじめ、多様に分類されています。
- ①背骨やその周囲の筋肉などの病気に由来するもの
- ②内臓の病気に由来するもの
- ③神経の病気に由来するもの
- ④血管の病気に由来するもの
- ⑤心因性由来のもの
最もよく見られる腰痛症は整形外科的な原因によるもので、上記の①に分類されます。これは鍼治療の適応症です。
ただし、寝ていても痛い、横になって眠れない、発熱がある、神経麻痺があるなどの腰痛は、重篤な疾患が疑われます。ただちに専門の医療機関を受診することをおすすめします。
●腰痛の種類と原因
ぎっくり腰
症状
腰部に痛みがあるにも関わらず、内臓疾患でもなく、レントゲン写真を撮っても異常が見られないものの総称です。前にかがんだり、急に立ち上がろうとしたりする際に激痛が走ることなどが一般的な症状
原因
長時間同じ姿勢、無理な姿勢を続けていたり、不用意に身体をひねったりしたとき、あるいは重いものを中腰で持ち上げたときなどに起こりやすくなります。
椎間板性腰痛
症状
鈍いような重いような違和感が、腰の周辺に現れます。レントゲン像で「骨と骨の間が狭くなっている」と専門医より説明を受けた方はこれにあたります。
原因
椎間板が年齢とともに硬くなり、それがすり減って薄くなったり、変形を起こしたりすることが原因です。つまり椎間板が変形して腰の部分が不安定になってくるため、これを支えるための筋肉に慢性疲労が起こって痛みが出てきます。
腰椎椎間板ヘルニア
症状
腰から足先にかけてしびれや痛み、筋力の低下などが現れます。腰を曲げないと痛みで立っていられないほどの腰痛と下肢の痛みを発症します。
原因
椎間板の亀裂から、椎間板の中心部にある髄核が押し出され、神経を圧迫することが原因です。
腰部脊柱管狭窄症
症状
腰の痛みのほか、立っていたり歩いたりしていると次第に脚がしびれてきます。また脚全体が痛むなどの症状が起こり、歩けなくなります。しかし腰を丸くして休憩すると症状が消え、歩くことができるようになります(間欠跛行)。また排尿障害を招くこともあります。
原因
腰椎の荷重・運動負荷による加齢変化として、椎間板の変形膨隆、椎体の骨棘形成、椎間関節の関節症性肥大、黄色靭帯の肥厚により脊柱管が狭くなり、中の神経が締め付けられて起こります。立っていたり歩いたりしていると神経はさらに締め付けられ、神経自体に循環障害が起こり、脚のしびれや脱力感が起きるといわれています。
これらのほかに整形外科的な原因による腰痛症には、腰椎分離症・すべり症、変形性腰椎症、坐骨神経痛などがあります。
●腰痛対策アドバイス
仕事をする際や家でテレビを見るときなど、普段の生活の中でいつも同じ方向に身体をひねっていないかどうか、ご自身で確認することをおすすめします。こうした些細なチェックが腰痛の予防にもつながります。
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慢性の腰痛に悩まされていますが、注意すべき季節はありますか?
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気温が急に下がる時季は特に注意が必要です。その少し前にご来院して鍼治療を受けていただくか、日常生活をスムーズに過ごすため朝にできる準備運動などを行ってください。
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慢性の腰痛はいつかは治るのでしょうか?
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慢性の腰痛は6カ月から1年で繰り返すケースが多いです。鍼治療によって一度腰痛を予防することで、繰り返す周期を長く変えていくことができます。それを繰り返すことで、やがて腰痛の発生を止めることができます。
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腰痛のときは横になっている方がいいのでしょうか?
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ひどい腰痛は別ですが、腰痛がある場合でもなるべく普段どおりの生活を過ごすことをおすすめします。ただし、重い物を持ったり無理に動いたりすることは避けてください。
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コルセットはいつまで着けているのがよいですか?
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腰痛が治ったらコルセットを外してください。コルセットの着用は痛みがあるときには効果的ですが、筋力の低下を予防するためにも痛みのない状態では着用しないでください。