脳や身体の病気に起因する「症候性頭痛」と、病気ではないものの繰り返し起こる「機能性頭痛」の2つに大きく分けられます。
このうち「機能性頭痛」は頭痛持ちの頭痛ともいわれており、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛などの種類があります。これらの症状には鍼灸治療が効果的です。
当院では、患者さんの頭痛がどの分類なのかを正しく鑑別し、適切な治療を行うことが大切であると考えます。鍼治療により頭痛が治まり、健康な生活を取り戻している方は多くいらっしゃいます。副作用のない鍼治療を試してみてください。
●緊張性頭痛
「緊張性頭痛」は頭痛の原因の70~80%を占めるといわれ、日本では成人の22%が悩んでいるほど多く見られる疾患です。中高年に多く、はっきりした性差はありません。また頭痛の頻度は月に数回程度から毎日とさまざまです。
原因
不安・抑うつなどの精神的なストレスや、姿勢の異常などによる身体的なストレスなどが原因となります。
これらのストレスによって首や頭の周りを取り巻く筋肉が収縮し緊張が高まり、血液の流れが悪くなって「こり」の状態となることで、頭痛が起こります。
この痛みがさらに筋肉の血流を悪くし、悪循環を引き起こすため、いつまでも頭痛が続きます。
症状
気が付かないうちに始まり、だらだらと痛みが持続します。
頭部から首筋にかけて痛むことが多いですが、頭全体が痛くなったり、鉢巻き様に痛みが広がったりするケースもあります。痛みは軽度から中等度で、日常生活への影響は軽度です。
圧迫感や頭重感が痛み方の特徴で、「鉢巻きをしているような」「帽子をかぶされているような」と表現されます。
●片頭痛
「片頭痛」は成人の10%弱が悩まされている頭痛で、女性に多く見られ、その数は男性の4倍ともいわれています。
多くは子どもの頃から始まり、月に1~2回程度の頻度で繰り返し起こります。
原因
血管説や、三叉神経血管説があります。(←この部分、より詳細な説明と、群発頭痛との整合性が必要かと思われます)
血管説は、頭部の血管が拡張することによって頭痛が起こると考える説です。
血小板からのセロトニン(血管を収縮させる作用を持つ)が放出されるため一旦脳の血管が収縮します。 その後、時間の経過とともにセロトニンが分解されていき減少することによって一度収縮した血管が逆に拡張するために頭痛が起こるというものです。
三叉神経血管説は、脳神経の中で最も大きい三叉神経(顔面周辺の感覚をつかさどる)が関与しているという説です。
何らかの刺激によって三叉神経が刺激されることにより、三叉神経の末端から血管を拡張させる作用をもつ様々な神経伝達物質が分泌されます。 それらの働きで拡張した血管や、それによって発生した炎症が神経を刺激して痛みが起こるというものです。
症状
片側のこめかみから目の辺りに痛みを生じ、波打つように「ズキンズキン」と痛みます。ひどくなると頭全体に拍動感のない持続的な痛みとなります。
日常生活がとても続けられないほどの痛みで、ひどい場合には寝込むこともあります。日常的な動作や入浴、体操は痛みを悪化させるため注意が必要です。しばしば吐き気や嘔吐を伴い、光や音に過敏となります。
男性の場合には30歳代に多く見られるタイプの頭痛です。年に1~2回、あるいは2~3年に1回起こりますが、いったん起こり始めると、1~2カ月間連日のように群発するのが特徴です。
●群発頭痛
「群発頭痛」は、年に数回から数年に1回くらいの頻度で起こりますが、一度発症すると1~2ヶ月にわたって、ほとんど毎日、ほぼ同じ時間帯に激しい頭痛におそわれます。
原因
群発頭痛の原因についてはまだはっきりとしていません。(←この部分、より詳細な説明と、片頭痛との整合性が必要かと思われます)
症状
睡眠中に起こりやすく、1日1回の頻度で起き、1時間程度で自然に治まります。
片方の目、目の上、こめかみの辺りに痛みを生じ、「えぐられるような」激しい頭痛であることも特徴です。
発作中、痛みを感じる側の目には充血や腫れなどが見られるほか、涙が出たり、鼻がつまったり、鼻汁が出たりします。その一方で片頭痛と異なり、吐き気や嘔吐はありません。
●頭痛へのアドバイス
緊張性頭痛の場合
緊張型頭痛は、筋肉の血流悪化が直接の原因であるため、血行をよくすることによって頭痛が軽減されます。また姿勢が悪いとどうしても身体の一部に無理な力が入ってしまい、筋肉の緊張を招き、頭痛の発症の原因となります。
そのため、まずは日常生活で「正しい姿勢を保つこと」「長時間同じ姿勢を取り続けないこと」を心がけましょう。
肩こりが強いときは、首や肩を温めるのもよいでしょう。毎日10~20分程度の軽い散歩をすると、全身の血行がよくなり、頭痛が起こりにくくなります。
片頭痛の場合
片頭痛の誘因は、人によってさまざまです。そのため、まずはご自身の片頭痛の誘因を知り、それを避けることが重要です。
一般的によく知られている誘因には、過度なストレス、睡眠不足、不規則な食事、暴飲暴食などがあります。また、赤ワイン、チョコレート、アルコールなどの食品が誘因として挙げられることが多いほか、雑踏、臭いや光の強い場所、閃光、雨の日なども片頭痛の誘因となります。
片頭痛が起きてしまったときは、暗い所で横になっていると、悪化しにくいといわれています。横になることができない場合は、座って安静にするだけでも効果があります。
●繰り返す痛みへの予防鍼灸
肩こりや頭痛は、日常の生活習慣が原因で生じることが多く見られます。その場合、鍼治療でいったんは症状を治した場合でも、生活を続ける間に再発するケースがほとんどです。
そのために定期的な予防鍼灸の効果は大きく、たとえ症状が現れても悪化する前に治療を行うことで、健康な状態を維持することが可能です。
また、ご家庭や職場でできるストレッチの方法や、パソコンを使用する際の注意点など、肩こりや頭痛を予防するためのアドバイスもお伝えします。
●よくあるご質問
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施術後に再発することはありますか?
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肩こりや頭痛の原因となる生活習慣を続けていれば、繰り返し発症します。そのために鍼治療と並行して生活習慣の改善のためのアドバイスをわかりやすく指導させていただきます。また必要であれば、継続的な治療をさせていただきます。
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仕事でパソコンを長時間使いますが、それが原因の肩こりや頭痛に悩んでいます。どのようなアドバイスをいただけますか?
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患者さんのパソコンの使用状況を細かく伺い、最適なアドバイスをお伝えします。イスやデスクの高さの調整方法や、ブルーライトをカットするメガネの着用のすすめなど、患者さん一人ひとりの状況に合わせた提案をします。